ニーズDB:医師インタビュー
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出沢 明 先生
帝京大学
医学部 整形外科 教授
整形外科

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1.ご専門の分野について

専門は整形外科で、脊椎と股関節を対象としている。
疾患としては、脊椎管狭窄症、椎間板ヘルニア、変形性股関節症が多い。

内視鏡手術は院内外を含めて年間350例実施している。内視鏡アシストを含めれば年間450件である。


2.ご専門分野に関わる既存の医療機器について

■この10年で、診療成績の向上や患者QOLの向上におおいに貢献したと考えられる医療機器

a)治療
i)内視鏡
内視鏡は、細径化され、画像の品質が向上した。細径化されたことでワーキングチャネル(操作用の空間)が拡大した。内視鏡先端にハイビジョン対応のCCDを搭載した電子スコープ型の内視鏡が登場し、画質が飛躍的に向上した。
電子スコープ型内視鏡は画期的である。画像がよく、電子信号により操作可能で、ベンディングに強く画像が歪まない。1987年頃に米国企業が開発を手がけたが小型化できず断念していた。オリンパスにより5mmまで細径化され製品化された。技術革新のスピードは速く、4mm経はすぐに登場するだろう。いずれ2mm経が登場すれば、ほとんどの内視鏡が電子スコープ型に置き換えられるだろう。斜視型の製品も開発されている。


■既存の医療機器の改良すべき点について

a)治療
i)内視鏡
内視鏡については、細径化、画像の高精度化、立体視が望まれる。細経化されればワーキングチャネルが広がる。画像については、立体視がほとんど進歩していない。ハイビジョンに慣れると立体に見えてくること、不十分な遠近感は目に疲労感を与えることなどから、これまでの立体視は普及しなかった。患者に対しても医師に対してもカンファタブルな技術でなければならない。


3.実現が望まれる新規の医療機器について

知的財産権の関係があるので、ここでの発言は控える。


4.その他、医療機器の研究動向や今後の医療機器開発の方向性に対するご提言について

【企業との共同研究について】
企業等との共同研究は積極的に応じている。これまでに10件ほど製品化されている。
しかし、日本では臨床医と企業との共同研究のシステムが確立されていないことが問題である。たとえば、臨床医からアイディアの提供を受けようとするときに機密保持契約を締結する土壌がない。このため、企業がある臨床医から提供されたアイディアを別の臨床医に提供して製品を開発するようなことが生じている。また、製品化できたとしても臨床医に対して経済的に還元する土壌もない。臨床医のアイディアを大切にするべきである。

【筋骨格系疾患の診断・治療の方向性について】
i)医療機器の薬事承認
医療機器の薬事承認は迅速に行われるべきである。新しい医療機器を使えないために国際学会における日本の存在感が低下している。たとえば、人工椎間板は日本では認可されていないが、欧米はもちろん中国や韓国でも使用されている。新たな医療機器を用いた医療に関して、日本は後進国となっている。
薬事承認を迅速化できないのであれば、混合診療を認めることも方策の1つである。混合診療のモデルはドイツである。ドイツはある程度自由診療が認められているが、米国のように大きな医療格差や医師の給与の高騰は生じていない。

ii)大学
日本の研究は、質は高いものの、臨床に結びつかないものが多い。臨床に結びつけることが課題である。

iii)国による医療機器産業支援について
自動車産業や家電産業を支援しているようなかたちで、国家として医療機器産業を支援することが重要である。ドイツや韓国は国策として支援している。


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