ニーズDB:医師インタビュー
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服部 信孝 先生
順天堂大学医学部
脳神経内科教授
神経内科

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1.ご専門の分野について

専門は神経内科である。

最近はパーキンソン病の脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)、脊髄小脳変性症の磁気刺激療法に力を入れている。
脳深部刺激療法は、1カ月あたり1~2件(2年間で21~22件)実施している。現在では月2件に近くなった。


2.ご専門分野に関わる既存の医療機器について

■この10年で、診療成績の向上や患者QOLの向上におおいに貢献したと考えられる医療機器

1)治療
① DBS
この10年で診療成績の向上等に貢献した医療機器としては、DBSがあげられる。当院では日本メドトロニック株式会社の機器を用いている。
1960~1970年代は淡蒼球を含む視床などの定位脳手術が盛んに行われた。そのおかげで短期的な視点では振戦優位のパーキンソン病の診療成績は向上した。一方、進行する病気に対する破壊術は、長期的な診療成績がよいとは限らないのが問題である。その意味では視床下核の脳深部刺激療法が登場したことは極めて発展性のある発見であった。
DBSは10年程度前から日本で行われるようになった。海外ではもう少し前から行われている。DBSが取り入れられた当初はこの治療に対して疑心暗鬼だったが、この10年間で診療成績などが積み重ねられ、コンセンサスが得られた治療として確立された。
視床下核の手術は小さな核に対して行うため、正確な手術を可能にするナビゲーションが求められている。ガイダンスに対して電極を入れ、どこへ入っていくか見ながら手術を行っていても、正確に目的の部位を刺激しているとは限らない。


■既存の医療機器の改良すべき点について




3.実現が望まれる新規の医療機器について

① 脳波計測システム
フリースペースで簡単に遠隔操作ができる脳波計測システムが実現されるとよい。
現在は脳波を計測するために電極がついている帽子を被る等の必要があり面倒である。ワイヤレスなど簡易的に脳波を計測できるとよい。

② 画像診断
現在でも精神・神経系疾患の診断・治療のアプリケーションは十分とはいえない。
陽電子放射断層撮影法(Positron Emission Tomography:PET)のPIBR(Photometric Image-Based Rendering)などの開発が進んでいるが、アルツハイマー病の画像診断には必要かもしれない。
ニューロイメージング等で軽度のパーキンソン病も診断できる画像診断が実現することが望まれる。
PETを用いた形態的・機能的な観察にはドーパミンをトレーサーにして使用できるものが実現するとよい。


4.その他、医療機器の研究動向や今後の医療機器開発の方向性に対するご提言について

① イメージング装置
一番注目しているのは画像診断である。特にニューロイメージングの開発が重要である。
他には活性酸素種、マイクログリアなどグリアをイメージングする機器があるとよい。
日本は制約が多く保険診療で行える検査が限定されている。現状の保険制度ではお金のかかる検査はできないため、イメージングに頼るところが大きい。うつ病や認知症等の様々な認知症を区別・鑑別できるトレーサーの実現が望まれる。

② 臨床応用について
医療機器は臨床応用まで時間がかかる。日本は海外より10年遅れている。日本では論文を書きにくく、研究者などの専門家も育たない。そのような状況を改善すべきである。

③ 研究の環境について
企業を含めた日本全体が新しい学問の発展を妨げるような官僚化社会になっているのではないか。国立大学に研究資金がまわるシステムになっており、私立大学は厳しい状況である。


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